生前贈与とは、自分の死亡後の相続によらず、生きているうちに自分の財産を人に分け与える行為です。
自分の財産を、自分の相続人にあたる人に生前に贈与することによって、相続にかかる税金(相続税)を多少なりとも押さえるために利用できる、いわば相続税対策のひとつとして利用されている方法です。
しかし、贈与税の税率が相続税よりも高く設定されているために、生前贈与を行うことで税金が高くついてしまう恐れがあるため、自身の財産状況をしっかりと把握しうまく活用することが必要です。
そこで、少しでも相続における税金をおさえたいのであれば、自分(被相続人)が健康なうちに基礎控除(年間110万円の贈与であれば、税金はかからない)をうまく活用し、かつ長期的な対策を行うことで相続の際には有利に運ぶことができます。
ただし、相続税対策として、基礎控除額分(110万円)の生前贈与を数十年間、続けたとしても、毎年、決まった額の贈与を繰り返していると、税務署から「初めから決めていた額を、単に分割して贈与しているだけである」とみなされ、贈与が行われたすべての額が一括して贈与税の対象になってくる恐れがあります。
そこで、贈与するたびに契約書を作成したり、毎年、贈与する金額に変化をつけたり(あえて基礎控除額をちょっと超える贈与を行い、贈与税を納めておくのもよい)することで、対処するのも一つの手といえます。
※ 財産を相続した者が、被相続人の死亡前から3年以内に生前贈与を受けていた場合、その生前贈与された財産については相続税の課税財産に取り込まれることになります。ただし、この課税は、相続・遺贈によって財産を取得した者が対象となるため、それ以外の人には適用されません。
しかし、相続税にも税金のかからない基礎控除(5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数))や、様々な優遇措置があるため、基礎控除や優遇措置が効かないほどの多くの遺産がある場合を除き、被相続人が死亡したことによって納めることになる相続税は発生しないのが実際のようです。